髪を綺麗に保つためにヘアカラーとの付き合い方
私たちの皮膚にはサイクルがあり、古い角質が剥がれ落ち新しい皮膚が生まれてきます。これを角化(ターンオーバー)と言います。これがあるおかげで転んで擦り傷を作っても、そのうち綺麗に治っていきます。
髪の毛も同じく毛根から生まれて伸びていき、いつしか抜けてまた新しい髪が生えてきます。これをヘアサイクルと言います。紫外線を浴びたり、ドライヤーの熱で傷んでしまっても、そのうち生え変わって綺麗な髪が生まれてきます。ここで問題が発生します。それ、何年かかるの?(笑)皮膚のターンオーバーは約1か月と言われています。
髪のサイクルは2年~6年と言われています。当たり前ですよね。髪のサイクルが皮膚と同じで1か月で生え変わっていくなら、みんな坊主頭です。「こないだやったブリーチで髪がとんでもなく傷んじゃった・・けど、そのうち無くなるよね♪」が通用しません。髪の抜け替わるサイクルに任せていたら、何年もボロボロになった髪と付き合わなければなりません。

なのでそもそも「髪は傷ませない」が最重要です。では、髪にとって何がダメージなのか。紫外線や乾燥、ドライヤーやアイロンの熱。それらも確かにダメージの一因です。しかし最もダメージの要因になるのは、ヘアカラーやパーマなどのケミカルによるものです。
毎日海に入るなどの特殊なケースを除いて、私生活のダメージなど比にならないものです。
美容師が、お客様が普段のドライヤーの使い方や紫外線対策などにあまり口を挟まないのはこのためです。そんなものは、今この手で塗布しているカラー剤のダメージと比べれば、赤子同然。地ならしの前の大砲(無視して)
なので髪を傷ませないためには、「カラーをしない」ということになってしまうのですが、そうも言ってられませんし、人類がヘアカラーを辞めてしまったら、当店は廃業になってしまいます。
ヘアカラーやパーマの有害性
ヘアカラーやパーマは(以下カラー)強いアルカリで髪に作用します。みなさん理科で習ったリトマス紙のあれです。Ph値(ペーハー)1~14まであり、数値が低くなればなるほど強酸性、高くなればなるほど強アルカリ性です。カラーのPh値は10~11と言われています。健康な髪の毛のPh値が4,5~5,5の弱酸性と言われていますから髪にとってはかなりのアルカリ性です。この強いアルカリをどう抑えていくかが私を含め美容師の課題でもあります。当店でもカラー後はこのアルカリを可能な限り中和、除去できるように努めていますが、現段階では完全に除去することは不可能です。「アルカリを中和すればいいのだから、強酸性のものを使えばいいのでは?例えばクエン酸水などがいいと聞いたことがあるけど」と聡明な方は思われるかもしれません。実際にそういう美容師さんもいらっしゃるでしょう。しかし、Ph値とは別に酸性度、アルカリ度という概念があります。これは性質の頑固さのようなものです。アルカリ度が高ければ高いほど中和するのが難しくなります。カラー剤のアルカリ度は高く、クエン酸では中和できないというのが現実です。これは高度なケミカルの話になりますので(私もまだまだ勉強中)言及しませんが、とにかくこのアルカリが髪に悪さをするもので、1度カラーしたら取り除くことは困難と覚えておいてください。また、アルカリを忌避するあまり酸性のヘアケア剤や酸熱トリートメントをやり過ぎると過収斂と言って、酸性に偏りすぎて表面がジリジリになってしまう可能性も出てきますので注意が必要です。
本当に綺麗な髪の定義とはトリートメントに含まれるシリコンなどのコーティングによるその時だけの手触りではなく、生まれたままの状態にどれだけ近いかと考えます。前述しましたが1度でも髪を染めたらダメージは別次元になるので、染めずに何もしない状態には戻れません。だからこそ、まずはなるべく傷ませずに髪を染めること、悪さをする成分を可能な限り取り除いてあげることに神経を集中しています。残留した悪い成分(基本的にはアルカリ)を抑え込むのは普段のヘアケアです。完全に取り除くことはできませんが、これ以上傷まないようにする予防はできると思います。
基本的にヘアカラーをし続けるというのはダメージとヘアケアのイタチごっこです。


髪の構造
結論、定期的に美容室で染めて毎日ケアしましょうというポジショントークになってしまうのですが(笑)
私の持論では色調や普段のヘアケアにもよりますが、6週間くらいで髪の退色が激しくなってきます。アルカリはキューティクルを開く役割があります。カラー後に閉じたキューティクルを残留したアルカリが再び開き、コルテックスから補充したケラチンやCMC(うるおい成分)が色素とともに一気に流れでてくるのが1か月半~というイメージです。なのでその前に美容室で染めてあげればいつも綺麗でいられるということになります。
あとがき
余談ですが、当店はセルフカラーもしくは他店でのカラーをされている方のパーマや縮毛矯正をお受けしていません。いつも当店でカラーしている方のみ=会員のみのメニューになっています。カラー剤によるダメージに更にパーマ剤やストレート剤のダメージを上乗せしなければならないので、より高度なダメージコントロールが必要になってきます。これまでのカラーの履歴がわからない中でそういったメニューをすることはかなりリスクを上げてしまいます。特にセルフカラーの場合はダメージがムラになって存在していることが多く、リスク管理の関係上60点か70点を目指すような施術になります。「どんな状態でも対応してこそプロの技術だ」という意見もありますし、私もそれなりの自負はあります。ただ、「美しい髪を作る」という当店の目的とはかけ離れた技術になってしまうので、ある時期からお断りするようになりました。私はセルフカラーを否定する気はありません。ただその選択肢を持っている方が当店に通う意味がないということです。ここまで読んでいただいた方には伝わると思いますが、当店のカラーに対するこだわりを1度でパーにしてしまうのがセルフカラーです(笑)中には美容室に通う途中でセルフカラーを挟んだり、カラー専門店を利用したりする方もいると思いますが、当店にはいらっしゃいません。しつこいようですが、他店でのカラーやセルフカラーを否定する気は毛頭ありません。ただ当店に通う意味がないと思うのでお断りしています。
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