
セルフカラーに対する美容師の本音
ドラッグストアにずらっと並ぶヘアカラー。私はたまに見に行くのですが(笑)昔と比べてかなり高価になったような気がします。これは昨今の物価の上昇もあると思うのですが、おそらくメーカーが傷まずに染められるように商品化している付加価値が大きいのではないかと推測しています。(使ったことがないのであくまで憶測です)なぜそう思うかというと、普段セルフカラー(白髪染め)している方の髪の毛が一昔前と比べて全体的にキシキシしていない印象があります。なるべく中立な立場で(ポジショントークにならないように)美容師としてのセルフカラーに対する本音をまとめました。
一般向けも美容室専用もプロセスは一緒
ドラッグストアで売っているカラー剤も美容室専用品も髪を染めるプロセスはまったく一緒です。アルカリ剤に酸化剤を混ぜて反応を起こして髪を染めます。
プロ用だから特別傷まないとかはなく、髪を染めるにあたっての基材はとてもシンプルでそこに良いも悪いもありません。メーカーによって様々ですがアミノ酸や天然抽出油(ホホバオイルやヒマワリ油など)を添加して髪のキシみを軽減させているのだと思います。プロ用のものでもそういった工夫はされており様々なカラー剤が存在します。添加物が多くなればその分カラー剤としての力は弱まっていきますから、染まる力を害さない程度に、頭皮に直接つけるものは刺激が抑えられていたり、鮮やかな色を優先するものは余計なものが入っていなかったり(根元につけるとしみやすいし傷みます)、用途に応じて使い分けるといった具合です。
セルフカラーの最大のデメリットは2つ
1つ目がこの用途に応じて使い分けることができないために起こるダメージと色のムラ。消費者はそのカラー剤がどういった設計なのか、知ることができません。たまたまなんとなく良さそうと手に取ったカラー剤を髪全体に使うことになります。すると、大変な色のムラになります。なぜなら髪は根元、中間、毛先と色が違い、カラー剤の入り方も全然違うからです。

セルフカラーの場合、毎回毛先まで同じ染料で染めてしまうので、不必要なダメージを負わせるのと、毛先に色素が重なっていき真っ黒になってしまいます。明るめの白髪染めを使っているのに根元だけが明るくなってしまうのはこのためです。セルフカラーではよくあることなので街を歩いていても散見されます。美容師はこれを「根明」(ネアカ)と呼び、カラーの失敗でよくあることです。

聞いた話なのでこれまた憶測ですが、市販されているカラー剤はアルカリの設定が強いと言われています。アルカリが強いと、髪のキューティクルを開く力が強くなります。髪の染まり方には結構な個人差がありますから、どんな髪質でも、どんな塗り方でも狙った色に染まるように必要以上に髪をダメージさせて色を入れようというわけです。
2つ目は塗り分けることができないことで起こるパーマや縮毛矯正の特大リスク。多くの人が気になる前の部分だけしっかり染めて後頭部~襟足にかけて染まってなかったりするので、パーマや縮毛矯正がとても難しくなります。それらの技術は髪のダメージによって慎重な薬剤選定(塗り分け)がとても重要です。何度も染めていたり、少しだけ染まっていたり、染まっていなかったり(カラー剤がそもそも付かなかった)するところが混在すると、完璧な塗り分けはほぼ不可能です。最もダメージのある所が1番のリスクなので基準をそこに置くしかなくなり、結果的に70点を目指すような施術になってしまいます。それで満足していただけるならなんの問題もありませんが、70点を目指して70点になるとは限りませんし、目測を誤って90点を目指したらー30点になっちゃったなど(笑)そういうことで今日も日本中の美容師が冷や汗をかいているわけです。
サロンでのヘアカラーへの取り組み
サロンでは薬剤の選定や塗り分けによる最小限のダメージでご希望の色にするのと同時に、髪の栄養補給や可能な限り残留物質の除去をしてお客様にお帰りいただいてます。(やらないところもあるし、別料金のところもあるし、お店によって様々)なるべく髪が傷まないように、色持ちするように施術させていただいてます。ここがセルフカラーと比べて1番の違いだと思います。
美容師(私だけ)の本音
私は、セルフカラーを全く否定しません。最初にも書きましたが、市販品も美容室専用品も大して差はないと思ってます。「髪が傷むからやっちゃダメ」とか「頭皮に良くないからやっちゃダメ」とか言いません。その人の勝手です。
美容室で染めると時間もかかるし高いですからね(笑)色ムラやダメージに目をつぶれば短時間で安く済みますし、傷んだら切ればいいし(笑)ただ、そこにパーマや縮毛矯正を私はやりたくありません。もしやるとしたら1.5倍くらいの技術料をもらってもいいと思ってます。(当店は最初からお断りしていますが)おそらくほとんどの美容師が共感してくれると思いますが、それだけリスクのあることなんですね。技術がどれだけあろうが、失敗するときは失敗します。それは消費者が悪いのではなく、そういった髪の状態がどうであれ当たり前にパーマや縮毛矯正が予約できてしまう美容室のあり方が問題だと思ってます。電話予約であれば髪の状態を聞くこともできますが、ネット予約となればその人の髪の状態はわかりません。しかも人によってかかる時間もまちまちなのに一緒くたに最短の枠しか用意しないので、どんどん時間が後ろにずれていきます。時代とともに複雑化する技術の中、予約の仕方は昔ながらのいつでも誰でも便利なままです(より一層便利になってるかも)。予約を取ってるわけですから、セルフカラーのデメリットをはっきり伝えることもできません。お客様から見れば「とは言うものの、やってくれるんでしょ?」です。予約を取れるだけ取って、お客様の状態がわからないまま後は出たとこ勝負の精神で、その結果あらゆる事故が起き、痛い目をみるのはお客様です。これは衰退業界の常態化している悪習だと思います。
そもそもお客様の理想が高くなるのも美容業界が誇張、仕込みなんでもありの広告しちゃうってのもありますしね。。。
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